2016年12月21日水曜日

建物・建築について②



今週のお題:建物・建築について ②


今日は京都・浄瑠璃寺についてご紹介したいと思います。
浄瑠璃寺もおすすめのお寺のひとつです。


【浄瑠璃寺とは】
浄瑠璃寺は、薬師仏とそれをまつる三重塔、阿弥陀仏九体とその本堂、
            宝池を中心とした庭園が平安時代のまま揃っている唯一の寺です。

浄瑠璃寺は東の薬師仏をまつる三重塔、中央宝池、西の九体阿弥陀堂から成りたっている。
寺名は創建時のご本尊、薬師仏の浄土である浄瑠璃世界からつけられた。
薬師仏は東方浄土の教主で、現実の苦悩を救い、目標の西方浄土へ送り出す遣送仏である。
阿弥陀仏は西方未来の理想郷である楽土へ迎えれくれる来迎仏である。
薬師に遣送されて出発し、この現世へ出て正しい生き方を教えてくれた釈迦仏の教えに従い、

煩悩の河を超えて彼岸にある未来をめざし精進する。
そうすれば、やがて阿弥陀仏に迎えられて西方浄土へ至ることができる。
この寺ではまず東の薬師仏に苦悩の救済を願い、その前でふり返って池越しに彼岸の

阿弥陀仏に来迎を願うのが本来の礼拝である。 
                              浄瑠璃寺パンフレットより


上記の説明にあるように国宝の阿弥陀仏が本堂に九体安置されています。
阿弥陀如来像を九体安置するのは『観無量寿経』に説かれる「九品往生」の考えに基づくもので、藤原道長建立の無量寿院阿弥陀堂をはじめとして、記録に残るものは多数ありますが、平安時代の作品で現存するものはこの浄瑠璃寺像のみです。

こちらが本堂・阿弥陀堂に安置されている九体の阿弥陀如来像です。




手前に四体、中央一体、奥に四体ありますが、お写真だと九体すべてを確認するのは難しいかもしれません。

ところで、上記のパンフレットの説明にもあるように本来は本堂へは入らずに、三重塔から池越しに礼拝するための造りですので、本堂へ入りますと阿弥陀如来が至近距離で拝見できます。
九体すべての造りが異なる為、細かいお顔の表情もじっくりと拝見できます。
国宝の阿弥陀如来像を九体も間近で拝見できる機会はなかなかないので、ここで仏像のどこに注目すればよいのかを少しご紹介します。

① 素直な気持ちでお顔を見る
② 全体像を鑑賞する
③ 角度を変えて鑑賞する
④ 細部に注目する
⑤ ポーズをみてまねてみる
⑥ 異なる時間帯・季節に拝観する
⑦ 自然光・灯明下で拝見する

どうでしょうか?九体の阿弥陀如来像ですのでみどころはたくさんあると思います。


さて、ここで境内案内図を見てみましょう。



浄瑠璃寺では境内に入りますと、まずは三重塔へ進み、参拝をします。
東此岸の三重塔には薬師如来さまが安置されています。そして、後ろを振り返り、大きな池越しに西彼岸にあります本堂の阿弥陀如来九体に礼拝します。

東此岸の三重塔がこちらです。




三重塔から後ろを振り返り、池越しに見る本堂がこちら。


境内の中心に位置する池は梵字の「阿」字をかたどった池といわれています。



西彼岸の本堂は柱間数や間取りからして阿弥陀如来像を九体、安置することを前提として作られていると思われます。
その本堂の扉がこちらです。

この扉の一つ一つが開扉されると中の阿弥陀如来像があらわれる造りとなっています。
緻密な計算で設計・建築されたことが窺われます。
この扉が夜間に開扉され、池に九体の阿弥陀如来がうつしだされたことがあります。

その映像がこちらです。『浄瑠璃寺 池に輝く、金色の姿
http://www2.nhk.or.jp/archives/michi/cgi/detail.cgi?dasID=D0004990020_00000

3分ちょっとの映像ですが、幻想的でとても美しいと思いませんか?

そして、国宝・秘仏が多く安置されております浄瑠璃寺ですが、来年2017年に特別開帳があります。
詳細はこちらです。
http://www3.pref.nara.jp/miryoku/megurunara/item/8561.htm



境内全体をみても、本堂の建築方法にしても細部にまでこだわりがあるおかげで九体の阿弥陀如来像が美しくも幻想的な存在感をだしています。
この九体の阿弥陀如来像が現存するのは浄瑠璃寺のみであり、さらに極楽世界をあらわした浄土式庭園が日本で唯一現存するのも浄瑠璃寺のみです。




【浄土式庭園】

浄土式庭園は平安時代以降に発達し、その形態としては、池泉の西側に東向きに建てられた阿弥陀堂を安置し、池をはさんだ東側から仰ぎ拝むのが浄土式庭園の主流です。




少し遠いと感じるかもしれませんが、とても美しいので訪れてみてください。
ちなみに、浄瑠璃寺の門前に手打ち蕎麦の吉祥庵 (きっしょうあん)さんがあります。
美味しいお蕎麦と寒い季節には嬉しいおぜんざいもあるので参拝の帰りにどうでしょうか。
風情のあるお店で、店主の守田蔵さんは「貴重な陶工」と評される方で、正倉院に伝わる「撥鏤(ばちる)」の制作で知られる方です。



大辞林 第三版の解説

ばちる【撥鏤】

象牙細工の一。青や紅色に染色した象牙の表面を彫り、地色の白を浮き上がらせ、文様を見せるもの。正倉院宝物中に伝わる。中国唐代に盛行。撥ね彫り。


【浄瑠璃寺】

住所:木津川市加茂町西小札場40
TEL:0774-76-2390
 拝観時間:9:00~17:00(12月~2月は10:00~16:00)
拝観料:300円

<アクセス>
JR「加茂駅」より徒歩約1時間9分。または、コミュニティバス当尾線「浄瑠璃寺前」下車すぐ
JR・近鉄奈良駅からは急行バス 「浄瑠璃寺」下車すぐ

コミュニティバス当尾線
http://0774.or.jp/pdf/tohno_commubus_time_table.pdf


急行バス http://0774.or.jp/exbus/index.html






1 件のコメント:

  1. 浄瑠璃寺へは行ったことがありませんが、静かで魅力的なお寺のようですね。
    訪れた際は、参拝の仕方に気を付けて、振り返って本堂を見てみようと思います。

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